僕らはそれに抵抗できない 要約&書評【依存の正体】

デジタルマーケティング

今回は依存に関する本「僕らはそれに抵抗できない」の書評を書いていきたいと思います。

著者について

この本の著者はアダム・オルターという方で、ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスのマーケティング学科准教授で行動経済学、マーケティング判断と意思決定の心理学の専門家です。出版物やウェブサイトで精力的に寄稿したり、多くの講演でも登壇しています。私は著者についてはTED Talkで知りました。

本の要約

この本は依存に関する本です。依存と聞いてまずイメージするのが、薬物やアルコールなどの物質に対する依存です。しかし、近年ではインターネットゲームなどの行動に対する依存も増えてきています。

この本では、依存に関する研究が、これまでのどのようにして行われてきたのかという歴史をふりかえり、その上でインターネットやゲームなどの行動に依存するタイプの新しい依存の実例とその仕組みを紹介しています。最後に、行動に対する依存に立ち向かう方法を紹介しこの本は締めくくられています。

目標信仰【目標は必要か?】

私がはじめに興味をもったのが、目標信仰の話です。本書では人を行動に依存させるための1つの要素として目標があると述べられています。人は目標があるとその目標を達成するために行動します。これだけ聞くとポジティブな内容に思えるかもしれません。仕事や健康、ひいては人生における目標がとても重要視されてる現代では当然のことです。

しかし、この本では目標が引き起こす弊害が紹介されています。一例として挙げられているのが、FitbitやApple Watchなどに代表されるウェアラブル端末に搭載されている活動計(一日に歩いた歩数や心拍数などを計測してくれる機器)についてです。

これらの機器は私たちの普段の運動量を可視化し、設定された目標との差を私たちに示してくれます。そのため、「今日は少し運動できてないから少し外を歩いてこよう」といったように、健康的な行動を促してくれます。

しかし、筆者はウェアラブル機器を使うことで人間は目標そのものに依存するようになると主張しています。先ほどあげた例でいうと、あなたが仕事でとても疲れて帰宅する際に、今日歩いた歩数を確認すると8,000歩。目標は10,000歩です。あなたはとても疲れていますが、歩きに出てしまうこともあるでしょう。

これは本来であれば、疲れている際には無理して歩くのは健康面を考えるとやめておくのが良いのです。しかし10,000歩という目標があるせいで、無理して歩きに出てしまうのです。

この例はとても小さい例に感じられますが、本書では「毎日◯km走り続ける」という目標をたてた女性が妊娠中や出産直後にも走らずにはいられなくなってしまうという例など、ショッキングな事例も紹介されています。

私は私たちの生きる現代では、目標をたてて達成のために行動することが必要以上に評価されすぎていると感じています。人生の目標は?どんな人になりたい?という問い、よく聞きませんか?

本書でも述べられていますが、目標をたてて、それを達成するための行動を行うというやり方だと、目標達成するまでの時間が長くなります。

もし、その行動が本人にとって辛いことや大変なことだったとしたら目標達成の瞬間以外は辛い時間であり、目標を達成できていない敗者の自分になってしまいます。もちろん、目標達成までの道筋を楽しめるのであれば、楽しみながら目標達成していけるので良いと思いますが。

そこで、最近注目されている、今に集中するマインドフルネスの考え方を取り入れてみるのも良いかもしれません。目標信仰の生き方では目標に向かって進んで行きますが、マインドフルネスでは今この瞬間に集中しているため、どこかに進む必要がないのです。

また、目標を抽象的なものにするのもおすすめです。例えば毎日健康のために良いことを1つする、です、これであれば体調が優れない場合はいつもよりも早く寝るかもしれませんし、病院に行くかもしれません。こうすることで目標に対する依存から開放されますよね。必ずしも数字を伴う具体的な目標を持つ必要はありません。

必ずしも目標をたててそこへ向かって行動することが正義ではないということではないんですね。

ゲーミフィケーションする

もう1つ興味深いなと思ったのはゲーミフィケーションについてです。ゲーミフィケーションはある体験をゲーム化することを指します。本書では単語を覚えるという行動(勉強)をゲーム化することで、学生たちがより良い成績を残したという例が紹介されています。

先ほど述べた、依存に対抗する考え方とは真逆の考え方で、良い行動に依存するように行動をデザインしていく考えた方です。

ゲーミフィケーションに必要なポイントは3つ。ポイント制であること、バッジがあること、上位に入ったプレイヤーを発表するランキング表があること、です。

私が継続的に行いたいと考えていることの1つに、このブログの更新があります。それをどうにかしてゲーミフィケーションしてみたいなと考えています。

まとめ【依存を利用しよう】

今回この本を読んで思ったのは、依存という現象自体に善悪はないということです。普段テレビやニュースなどで薬物依存などの話を聞くことの多い私たちはどうしても依存をネガティブなものと捉えがちです。しかし、依存は使い方によっては私たちにポジティブな効果を与えてくれる可能性も秘めています。

また、幸か不幸か私たちは依存を意図的にデザインすることが可能です。先ほど述べたように私たちにポジティブな効果を与えることも可能ですが、気づかない間に私たちが依存するように誰かにデザインされたものを利用している可能性もあります。

少し分量のある本ですが、実例が多いのでとても理解しやすい内容となってます。ぜひご一読を。

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