いちばんやさしいグロースハックの教本 要約&書評

thinking デジタルマーケティング

今回は「いちばんやさしいグロースハックの教本」という本の書評を書きたいと思います。

この本を読んだきっかけ

グロースハックについて情報収集していると、よく目にするのが以下のような派手な事例です。

  • Hotmailは、全てのユーザーのメールの一番下に、「Get your free email at Hotmail」という文言を載せることにより半年で100万人のユーザーを獲得した
  • 友人にDropboxを紹介すると、紹介した側もされた側も500MBの容量が追加されるというキャンペーンによりDropboxの登録者数が60%増やした

どちらも素晴らしい成果ですよね。

誰しも「自分もグロースハックして、ユーザーを獲得したり収益をアップさせたい」と思うわけです。

しかし、意外と情報が少ないのが具体的なグロースハックの手法です。

海外(特にアメリカ)ではグロースハックに関するイベントやメディアも結構出ており、比較的情報は入りやすいですが、国内となるとまだまだ情報が少ないなというのが私の印象です。

そんな中、周りからこの本がオススメされたので読んでみることにしました。

概要

この本の著者は2人います。

1人目は、2012年にAppleのベストアプリ、2014年~2016年にはGoogleのベストアプリを受賞した、200万人以上のユーザー数を誇るファッションアプリ「IQON」を提供していた株式会社VASILYの創業者である金山裕樹さん。

2人目は「iQON」のGrowthを担当していた、AR/VRサービスの開発を行うMESONの代表の梶谷 健人さん。

この本では大きく分けると1つのパートに分けることができます。

1つ目はグロースハックについて理解するパートです。このパートではグロースハックの定義から成功事例、必要なスキルやマインドセットなど「グロースハック とは」について書かれています。

2つ目のパートはグロースハックでよく使われるAARRRというフレームワークを進化させたARRRAというフレームワークを紹介した上で、それぞれのステージでどのようなことをやっていくのかという具体的な話を実体験を交えながら説明しています。

感想・学び

4つの感想・学びをご紹介します。

グロースハックとマーケティングの違い

いままでグロースハックとマーケティングの違いについては、いくつかの情報を当たって調べてみましたが、どれもフワッとした感じで説明されていたため、私自身もモヤモヤしていました。

しかし、この本の中の次の一文がその違いをとても分かりやすく説明しています。

一言で言えば、いままでのマーケティングが製品を”定数”として取り扱ってきたのに対して、グロースハックはそれすらも”変数”として施策を行う点が違います。

いちばんやさしいグロースハックの教本 より引用

マーケティングの世界では、プロダクト自体は変更できない物として扱っていました。

洗剤や電子機器などをイメージしていただくと分かりやすいでしょうか。

そのため、価格や宣伝、流通を変更することで成果を出すしかないのです。

しかし、グロースハックの世界ではプロダクトはソフトウェアや、Webサービスなのでプロダクト自体を変更することが可能なのです。

皆さんも自分のスマホアプリをアップデートした経験があると思いますが、アップデートすると、新しい機能が追加されたり、デザインが変わっていたりしますよね。

逆に洗剤やカメラは一度作ってしまうと、それ以降は変更が効きません。

これがマーケティングとグロースハックの違いです。理解しやすいですよね。

この本の特徴として、例がたくさん挙げられているため、読者もイメージしながら読み進めていくことができ、理解が進みます。

さらにほとんどの例が著者の2人が実際に現場で体験したことなので情報源としても信頼できます。

複雑なデータは必要ない

5章の「グロースハッカーのスキル」では、グロースハッカーに必要なスキルとして 1)UXデザイン、2)データ分析、3)プロジェクトマネジメントが挙げられています。

この本を読む前は、私の中でグロースハックというと、2のデータ分析のイメージがとても強かったです。

数学がもともと得意でなかった私は「きっと複雑な計算たくさんやってるんだろうな」と、グロースハックに対してとっつきにくいイメージを持っていました。

この本の中に次の一文があります。

「複雑なデータ」の専門家である必要はありません。むしろシンプルに判断できる数値の方が成果に結びつきやすいのです。

いちばんやさしいグロースハックの教本 より引用

確かにその通りですよね。

あまり複雑なデータを使っても、施策とデータの関係が遠くなれば遠くなるほど成果が見えなくなります。

現在、世の中にはたくさんのデータ分析ツールがあり、大量のデータを簡単に取得することができます。

本書でも述べられていましたが、大切なのはそうした大量のデータの中から「本当に必要なデータを見極める能力」です。

AARRRではなくARRRA

グロースハックについて調べていると、一番よく出てくるフレームワークがAARRRです。

これはユーザーがとる5つの行動(Acquisition = ユーザー獲得、Activation = 利用開始、Retention = 継続、Referral = 紹介、Revenue = 収益の発生)を順番に並べたものです。

AARRRがないと、どうしてもユーザー獲得や収益の発生ばかりに目を向けてしまいがちですが、このフレームワークを使うことによって、それぞれのステージに対して施策を行いやすくなります。

しかし、この本では施策を行う際にはAARRRの順番ではなく、Acquisition(ユーザー獲得)を最後に持ってきたARRRAの順番で行う方が良いとしています。

当然ですが、顧客が継続しないサービスや、収益を生まないサービスでいかにユーザーを獲得してもサービスは成長しません。

いちばんやさしいグロースハックの教本 より引用

AARRRモデルの順番に施策を行なっていくと、まず始めのユーザー獲得に対する施策を行うことになります。

しかし、どれだけユーザー獲得を行なったとしても、その先のステージのActivation(利用開始)とRetention(継続)ができない、すなわちユーザーがプロダクトに対してユーザーが価値を感じ、継続的に利用してくれる状況でなければゴールである収益の発生まで辿り着かないからです。

底のない穴の空いたバケツに大量の水を注いでも、水が全く貯まらないのと同じです。水の量(ユーザー)を増やす前に、バケツに空いた穴を埋めていくこと(ユーザーがプロダクトに価値を感じ、継続的に利用する)をするべきです。

当たり前に聞こえますが、これは現場では結構ありがちな間違いで、「とにかくユーザーを集めないと!」と一生懸命穴の空いたバケツに水を注いでいる場合が多いです。

スタートアップが失敗する理由

本書内で紹介されているスタートアップが失敗する理由の1位は「マーケットニーズがないこと」、つまり「ユーザーは課題を抱えていなかった」なのです。

すべてのサービスは「誰の・どんな課題を・どうやって解決するか」、つまり「顧客・課題・解決法」という3つの要素から成り立っています。しかし、そのサービスが解決しようとしている課題が実は存在していなかった、ということはよくあります。

いちばんやさしいグロースハックの教本 より引用

「失敗の原因はそこなの?」と思っちゃいますよね。冗談に聞こえるかもしれませんが、事実なんです。

だからこそ、本格的な開発やマーケティングに入る前の段階で、マーケットニーズを確認することは、スタートアップの成功の大きなポイントと言えるでしょう。

具体的なマーケットニーズの確認をする際にはプロトタイプを作成し、実際に人に使ってもらったりすることがあります。

また、本格的な開発を行う前にクラウドファンディングでデモ動画を公開し、お金が集まってから(ニーズがあることが確認されてから)本格的な開発を行う例もあるようです。

ニーズの確認の大切さを再確認しました。

まとめ

この本はタイトルの通り、グロースハックについてとてもわかりやすく解説しています。特徴は、知識だけでなく現場で実践できる具体的な行動についてまで解説されており、読者もグロースハッカーとしての第一歩が踏み出せるような本だという点です。

ただ、具体的な内容も多いため、多少基礎知識がある方の方がより効果的に学習できると思います。

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